示談の相手と直接会うのが嫌だったのでメールと電話でやり取りをし、内容には双方納得して合意しました。メールも通話録音も残してあります。でも示談書を正式に作っていないので、後から約束を破られないか心配です。
示談交渉で合意に至った話し合いの録音やメールの効力についてお尋ねですが、双方が納得して合意の上で示談が成立したことがわかる内容であれば、録音やメールでも示談成立の証拠となります。
示談書とは、和解書とも呼ばれることのある書類です。
和解については、民法第695条に定めがあります。
民法第695条の内容は、「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる」というものです。
つまり、民法上では和解は当事者がお互いに譲歩することが要件となっています。
示談については、お互いの譲歩が必要ないという考え方もありますが、効果については示談も和解の規定を適用することが多いです。
もしも示談書を作成せずに口約束だけで終わらせてしまうと、約束が果たされずにトラブルが起こるかもしれません。
それを避けるために、示談交渉で合意に至った場合には示談書を作成するケースが一般的です。
しかし、示談書が作られていない場合でも、今回ご質問のような合意に至った話し合いの録音やメールといった示談成立が証明できるデータがあるのであれば、示談内容を無視して新たに金銭の請求などを行うことは示談違反となります。
示談書がないからといって、すぐに諦める必要はないのです。まずは話し合いの過程でのデータが残っていないのかをご確認ください。
一方で、相手が一旦は納得して合意に至った示談でも、示談金の金額が明らかに不適切なものである場合や、公序良俗に違反するような内容だった場合には、示談が無効になる可能性もゼロではありません。
したがって、録音やメール自体は示談成立の証拠となったとしても、それが必ずしも有効な内容であるとは限らない点には気をつけてください。
示談書を交わさずに録音やメールで示談を完了したいのであれば、専門家である弁護士に介入してもらうことによって双方の合意を証明しやすくなります。
とはいえ、できるのであれば示談書は作成しておいた方が安心です。
示談する相手と関わりたくないという理由で電話やメールだけで解決を目指すケースもありますが、将来的にトラブルに発展しやすくなります。
ただし、示談書を作ってからは交渉のやり直しができないのが原則です。
したがって、弁護士などの専門家に相談しながら示談を進めることで安心して示談書が完成させられるでしょう。
以上、示談交渉で合意に至った際、話し合いの録音やメールが示談書と同じ効力があるのかについて解説しました。
まだ不安な点や疑問が残る場合には、適切な専門機関にご相談ください。