交通事故で相手方から示談金を受け取りましたが、これは税金の課税対象になるのでしょうか?

金額がそれなりに大きいので、課税されるとしたら支払う税金の額が気になっています。


示談金や慰謝料には、基本的には税金がかかりません。
ただし、示談金を受け取る方の立場や示談金の内容によっては、課税対象となる場合もあります。
もう少し詳しく見ていきましょう。

日本の税金のルールでは、収入や贈与、相続など何らかのかたちでプラスのものを得ると、税金が課税される仕組みになっています。
会社員は会社から給料を得ると、所得税などの課税対象です。


誰かから財産を贈られると基本的に贈与税の課税対象になりますし、相続が発生すると相続税の課税対象になる可能性があります。
このように、財産的なプラスに対しては、日本は原則的に課税が発生する仕組みになっているのです。


今回のご質問では、交通事故のときに示談金や慰謝料などを受け取ったらどうなるのかが問題になります。
示談金や慰謝料は課税対象になるのでしょうか。


交通事故の示談金や慰謝料は原則的に非課税である

交通事故の相手方から受け取る示談金や慰謝料は、原則的に非課税になります。
示談金を受け取ることは、「収入があった」と解釈し、所得税などの対象になると勘違いする人もいるかもしれません。
しかし、交通事故の示談金や慰謝料が原則的に非課税になっているのは、示談金や慰謝料の性質が関係しているためです。


交通事故の示談金や慰謝料は、贈与で受け取る金銭や給与のような純然たるプラスではありません。
事故によって失われた損害(事故によるマイナス)を補填する性質のものです。
事故がなければマイナスは出なかった。
本来は出なかったはずのマイナスを示談金や慰謝料で補填し、交通事故がなかったときの状態に戻すわけです。


示談金や慰謝料などは損害の埋め合わせとしての性質が強く、給与や贈与のような純然としたプラスではありません。
また、所得税などが課税されてしまうと、損害補填の意味がなくなってしまいます。


課税されると、マイナスが出る前の状態とも違ってきます。
そのため、交通事故の示談金や慰謝料などは原則的に非課税になっているのです。
休業損害や見舞金なども、基本的に非課税になっています。


交通事故の示談金が課税対象になるケース

ただし、すべてのケースにおいて示談金や慰謝料が非課税になるわけではありません。
中には課税対象になるケースがあるのです。
交通事故の示談金や慰謝料が課税対象になるのは次のようなケースになります。
()内は、課税される可能性のある税金です。


  • 示談成立後に受け取り権者が亡くなり遺族が示談金を受け取ったケース(相続税)
  • 交通事故の被害者が事業主であり、商品損壊に対する示談金を受け取ったケース(所得税や消費税)
  • 示談金の受取人が法人だった(法人税)

交通事故の示談金や慰謝料の課税関係で分からないことがあれば税理士に相談し、疑問の答えを明確にしておきましょう。



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