念書に書かれている内容に不満を申し出たら、「署名しなければ今すぐ離婚する」と言われ、仕方なく署名しました。しかし納得がいかないので念書を無効にしたいです。
浮気が妻にばれて一方的な約束を盛り込んだ念書への署名を強要されたとのことですが、基本的には一度署名捺印をしてしまった念書を無効にすることはできません。
したがって、もしもすでに念書に署名捺印をしているなら、従わなければならないと言えます。
念書とは、当事者同士で約束したことを書面に残すものですが、法律にその形式が決められているわけではありません。
しかし、念書があれば、不倫していたことを証明するものになりえますので、今後裁判などが起きたときに役に立つでしょう。
ちなみに、念書の内容や作成時の状況によっては、署名捺印済みの念書を無効にできる場合もあるので確認しておきましょう。
署名捺印済みの念書を無効にできるケースは4つあり、
- 脅迫されて署名捺印した場合(民法第96条)
- 詐欺行為のもと作成された念書だった場合(民法第96条)
- 念書に記された内容が公の秩序又は善良の風俗に反するものだった場合(民法第90条)
- その他法律違反に該当する内容である場合や、違法行為のもと作成された念書である場合
となっています。
民法第96条1項では、詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる
と定められており、相談者が念書作成時に置かれた状況が上記に当たれば、念書を撤回することができるでしょう。
しかし、念書の作成や署名捺印の強要が脅迫と言えるほどの状況でなければ、念書を無効にするのは難しいと考えられています。
また、民法第90条は、公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする
という公序良俗を定める法律です。他にも念書の作成状況によっては、別の法律が該当することもあります。
しかし、いずれにしても裁判などで念書の無効を主張する場合には、念書が無効となる条件が存在することを自分で立証しなければなりません。
民事訴訟の立証については、民事訴訟法第179条で、当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
とされています。
これは翻って、当事者間で事実を争う場合には、立証が必要であるということでもあります。念書への署名を強要されたのであれば、それを証明する証拠がないかを考えてみるのが良いでしょう。
もしもどうすれば良いのかがわからない場合は、弁護士に相談するのも解決策の1つになります。専門家である弁護士に相談することによって、状況を打開できる可能性はゼロではありません。
以上、浮気が妻にばれて一方的な約束を盛り込んだ念書への署名を強要されたときについて解説しました。念書に署名したことを納得できていないなら、まずは早めに適切な機関に相談してください。