「脅迫」「強要」「恐喝」という言葉はよく見聞きしますが、それぞれ犯罪としてはどのような定義になっているのでしょうか?どれも似ている気がしてなんだかややこしいです。
脅迫罪と強要罪と恐喝罪の3つの犯罪は、似ているようですが明確な違いがあります。
脅迫罪と強要罪と恐喝罪の違いについて、「犯罪の内容」と「量刑」の2つのポイントに着目して見てみましょう。
脅迫罪・強要罪・恐喝罪の3つの犯罪は、第一に犯罪の内容に違いがあります。
脅迫罪は「害悪の告知」によって犯罪が成立します。
害悪の告知とは、体や財産、名誉などに害を加える旨を告げることです。
要は、「脅し」になります。
また、害悪の告知の対象は、本人や親族です。
たとえば「お前の親を殺すぞ」「お前を怪我させるぞ」「お前を殴ってやる」などと相手に告げることによって脅迫罪が成立する可能性があります。
この害悪の告知は、一般人が畏怖する程度でなければいけません。
「叩いてやる」と言われても、言った相手が小さな子供であれば怖くないはずです。
親友同士で冗談をいい、笑いながら「叩いてやるぞ」といっても、怖いと感じることはありません。
一般人が恐怖する程度の害悪の告知を行い、恐怖を覚えさせること。
これが脅迫罪です。
強要罪は「人に暴行や脅迫で義務のないことを行わせる」犯罪です。
強要罪における「義務にないこと」とは、財産交付以外を指します。
たとえば、胸倉をつかんで「謝罪しろ」と脅す。「土下座しなければ殴ってやる」と告げる。
このようなケースでは強要罪が成立する可能性があります。
ニュースやSNSなどで店員に無理矢理土下座させたことが話題になったことがあります。
店員に土下座させる行為が即座に強要罪になるわけではありません。
しかしながら、「殴ってやる」「殺してやる」「お前や店の悪い評判をばらまいてやる」などの脅迫や、
胸倉を掴むなどの暴行をともなえば、この強要罪に該当する可能性があるのです。
恐喝罪とは、「人に害悪の告知をして財物を交付させること」です。
先に解説した強要罪は、人に暴行や脅迫で義務のないことを行わせる犯罪でした。
しかし、強要罪の「義務のないこと」は財物の交付、つまり「お金や持ち物を渡すこと」以外を指していました。
恐喝罪は「財物の交付」という点で強要罪と異なっているのです。
また同様に、脅迫罪は他人が畏怖する程度の害悪の告知によって成立する犯罪でした。
恐喝罪は害悪の告知に加えて財物の交付を行わせている点で違いがあります。
脅迫罪・強要罪・恐喝罪は、量刑にも違いがあります。
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(刑法222条)
3年以下の懲役(刑法223条)
10年以下の懲役(刑法249条)
このように、人を脅して金品を奪い取る恐喝罪が、一番罪が重くなっているのです。