前科があっても、海外旅行で出国できるでしょうか?

数年前、暴力沙汰を起こして前科がついてしまいました。今回海外へ旅行したいのですが、そのときの前科は関係してくるのでしょうか?


海外旅行に行くにあたり、「パスポートが発行できるか」「行きたい国が受け入れてくれるか」という2つの問題を考える必要があります。順を追って見ていきましょう。

海外旅行をするためには、まず「日本を出国」し、その後、希望する「外国に入国」する必要があります。

また、同条第3号には、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」についても同様に明示されています。そのため、いわゆる執行猶予中の場合もパスポートの発行が制限されるということになるのです。


パスポートの発行

まず1点目の出国に関しては、パスポートの発行が制限されるかどうかが問題となります。

旅券法第13条第1項第2号には「死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者」については、パスポートの発行がなされない可能性があると記されています。

また、同条第3号には、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」についても同様に明示されています。そのため、いわゆる執行猶予中の場合もパスポートの発行が制限されるということになるのです。
さらに、同条により、旅券や渡航書の偽造や行使(未遂も含む)の罪を犯し、刑法第155条第1項や第158条によって罰せられた人や旅券法第23条の規定により処罰されたことがある人などについても、パスポートが発行されないケースが考えられます。

入国審査

次に、諸外国の受け入れについてですが、これは各国で対応が大きく異なります。
非常に厳しい入国審査を実施している国とそうでない国があるため、一概には説明できません。

あらかじめ入国を希望する国の大使館や領事館等に、ビザの要否や前科とされる範囲などについて問い合わせしておくことがおすすめです。

たとえば逮捕歴のある人が、入国審査の厳しいことで知られるアメリカに旅行しようとする場合、問答無用ではじかれるというわけではありませんが、パスポートだけでなくビザの発給が不可欠となってきます。

在日米国大使館・領事館のホームページによると、ビザの申請にあたっては、過去に判決を受けた裁判所を管轄する地区検察庁に照会し、判決謄本、裁判記録等の犯罪歴関連書類をすべて提出した上で、審査を待たなければなりません。
日本語の書類については、英訳文も求められます。


また、アメリカの国土安全保障省での追加手続きが必須のため、審査期間も数週間から数か月を要する場合もありますので、できるだけ時間に余裕を持って手続きを進めておく必要があるでしょう。

なお、審査が面倒だと告知を怠ったり、虚偽の申告をしたりすると、発覚した場合、アメリカへの入国は永久に不可能となりますので、くれぐれもご注意ください。


このように、前科のある人が海外旅行を希望する場合は、申請が認められなかったり、通常より手続きに時間がかかったりすることも考えられます。
飛行機のチケット購入やツアーの申し込みは、パスポートやビザ等の書類がすべて揃ってからにされたほうが賢明かもしれません。


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