離婚した元夫からの養育費が先月から支払われていません。
離婚時に、養育費に関して取り決めた離婚協議書を公正証書にしているので、強制執行に踏み切りたいと思います。そのためにどんな手続きが必要か知りたいです。
養育費は子供の生活のための大切なお金です。
支払いが滞った場合、何とか回収しようと考えるのではないでしょうか。
強制執行は、養育費を回収する方法のひとつです。
強制執行で養育費を回収するためには、何が必要で、どのような手続きをすればいいのでしょうか。
「強制執行の手続きに必要なもの」と「強制執行の手続き」をそれぞれ分けて見て行きましょう。
養育費の強制執行とは、給与や不動産などの債務者の財産から、養育費のためのお金を強制的に回収する方法になります。
強制的に回収するという性質上、回収方法としては非常に強力な方法です。
強力だからこそ、無条件で強制執行することは、基本的にできません。
強制執行は、強制執行の条件(必要なもの)をそろえて始めて可能になるのです。
養育費の強制執行をするには、次の2つのものが必要になります。
債務名義とは、強制執行の条件になる公的な書面のことです。
確定判決や調停調書、和解調書などが債務名義にあたります。
この他に、公正証書も債務名義として使うことが可能です。
今回のご質問では公正証書を使っての強制執行という話なので、公正証書を使うご予定なのでしょう。
公正証書を債務名義として利用する場合は、注意が必要になります。
公正証書に「執行受諾文言」がなければいけないのです。
執行受諾文言とは「甲は、債務を履行しなかったときはただちに強制執行に服する」といった文言のこと。
つまり、約束どおりに養育費を払わなかった場合は強制執行をされても文句は言いません、という意味合いのものです。
公正証書で強制執行するときは、その状態で強制執行に使えるか、弁護士などに確認してもらうことをおすすめします。
強制執行をしたくても、相手の財産の所在などが分からなければ、手続きは難航します。
強制執行の対象にする銀行預金の口座がある金融機関や支店名などを確認しておきましょう。
給料に対して差し押さえや強制執行をするときは、勤務先の情報も必要です。
情報が分からないときは、弁護士に相談すれば「弁護士照会制度」によって確認できます。
勤務先についてまったく情報がないという場合は、探偵を使って調べることも可能です。
弁護士から信頼できる探偵を紹介してもらうことをおすすめします。
手続きの際は申立書や債務名義の正本、送達証明書などが必要書類になります。
この他にも注意事項があるので、裁判所のホームページで確認しておくようにしましょう。
なお、強制執行は弁護士に依頼することも可能です。
強制執行は必要書類がやや複雑であり、手続きも法的な知識を求められる傾向にあります。
不安な場合は弁護士に依頼し、スムーズに進めましょう。