妻が失踪して10年経ちます。彼女にかかっていた生命保険を受け取ることはできるでしょうか?

妻が帰ってこなくなって10年が経ちました。手を尽くして探しましたが、連絡を取ることすらできずにいます。もう諦めてしまうかと思ったのですが、彼女にかかったままの生命保険をふと思い出しました。この扱いは、一体どうなるのでしょうか。


保険料の支払いを続けていた上で、所定の手続きを行えば受け取ることが可能です。「失踪宣告」の手続きと、その後妻がどのような扱いになるかを解説します。

結論から言うと「しかるべき手続きをすることで生命保険を受け取ることが可能」です。
失踪中ということは、生死が分からない状況ではないでしょうか。

裁判所の「失踪宣告」は、法的に死亡したとみなされる手続きになります。
失踪宣告の手続きをすることにより、相続や保険金などの手続きを進めることが可能になるのです。
失踪宣告 _ 裁判所 (「1. 概要」)

失踪者の場合、婚姻や財産などが失踪時のままになっているはずです。
生死が判断できない場合は仮に法的な手続きによって死亡したとみなし、人間関係や財産関係の整理をするという流れになります。
失踪宣告により法的には死亡したとみなすため、生命保険の受け取りが可能になるという結論になるのです。

失踪宣告には「普通失踪」と「特別失踪」の2つがある

裁判所での失踪宣告には、 「普通失踪」と「特別失踪」の2つのパターンがあります。

普通失踪とは

普通失踪とは、生死が7年明らかでない場合の失踪宣告です。
普通に生活していてふらりと失踪してしまったケースなどは、この普通失踪に該当します。


普通失踪が認められると、失踪から7年経過した日に、失踪者は法的に死亡したものとみなされるのです。


特別失踪とは

特別失踪は、危難による失踪で認められる失踪宣告になります。
危難とは、船の沈没や戦争などのことです。

特別失踪は、危難が去った時から1年の経過で失踪宣告の申し立てが可能です。
特別失踪が認められると、危難が去った時に死亡したとみなされます。

特別失踪では、死亡したとみなされるのは「危難が去った時」である点に注意が必要です。

失踪宣告の手続き後に生命保険金を請求するときの注意点

失踪宣告によって法的に死亡したものとみなされると、相続や保険金などの手続きをすることになります。
失踪宣告で生命保険金を請求する場合は、2つの点に注意が必要です。


1つは、保険の契約状況。
もう1つは、原状回復です。


失踪宣告により死亡したとみなされた場合は、基本的に生命保険金を受け取ることができます。
ただし、保険契約の解約や失効があれば、保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
保険料の支払いがあるか、保険の契約はなされたままか、忘れずに確認しておきましょう。


また、失踪宣告後に本人が生きていた場合は、失踪宣告が取り消される可能性があります。
生命保険金などは「現に利益を受けている限度」での現状回復、つまり失踪宣告が取り消された時点で残っている金銭を返す必要が出るため、注意が必要です。



失踪宣告の手続きについて分からないことがあれば、弁護士への相談もご検討ください。

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