無断で他人の家に侵入しても「正当な理由」があれば住居侵入罪にはならないと聞いたのですが、具体的にどういう理由なら許されるのでしょうか?
住居侵入罪とは、正当な理由なく他人の住居に侵入することによって成立する罪のことです。
他人の住居については家だけでなく、建造物や艦船なども対象になります。
また、ホテルの部屋も泊っている間は寝食に利用されるため、住居に該当するという解釈です。
これらの住居に理由なく侵入することが住居侵入罪にあたります。
住居侵入罪においては「正当な理由」がどのような理由やケースを指すのかがしばしば問題となります。
住居侵入罪の「正当な理由」には、明確な定義が存在しません。
次の3つのポイントをチェックし、ケースによって正当な理由にあたるか否かを判断することになります。
住居への侵入が違法行為(不法行為)目的ではないか。
これは、住居侵入に正当な理由があるか否かのチェックポイントのひとつになります。
窃盗が目的であったり、住人への傷害が目的であったりする場合は、正当な理由とはいえません。
窃盗目的で住人の隙をついて侵入することと、住人が傷病などにより倒れている可能性があり、心配して侵入すること。
この2点は、行為という意味でのみ考えるのならば同じ侵入になります。
しかし、「侵入目的」の点で同一に考えることはできないはずです。
ただし、違法行為(不法行為)目的ではない侵入であっても、住人や管理者の意に反していれば住居侵入罪になる可能性があるため注意が必要になります。
住人の意思に反して住居に侵入していないか否かも、住居侵入の正当な理由を判断する上で重要なポイントです。
たとえば、窃盗目的で侵入する場合に家主に対して「家に入っていいか」と訊いたとします。
家主はまず承諾しないことでしょう。
しかし、離れて暮らしている親密な親族が家主の不在時に荷物を届けに来た場合はどうでしょう。
事情を知っていれば、家主は承諾した可能性が高いのではないでしょうか。
住人や管理人の意に反している侵入でも、正当な理由があると判断される場合はあります。
それは、法的根拠があるケースです。
たとえば、警察が捜索令状を持って家宅捜索に訪れました。
住人の意に反していても、法的根拠があり住居侵入を許されるケースです。
法的な根拠がある場合は、正当な理由があると解釈されます。
実際に住居侵入罪が成立するか。
正当な理由があるか否か。
以上については、3つのポイントを確認した上でケースごとに判断されるのです。
判断は個々のケースによって分かれます。
疑問点や不安は弁護士に相談してみましょう。