債権回収会社を名乗る会社から、十数年前の借金の返済請求が届きました。支払わなければいけませんか?

つい先日、十数年前に借りたままになっていた借金の返済請求の書類が届きました。返済をすっかり忘れていたのは申し訳ないのですが、正直いまごろ、という気持ちです。これは返済をしなければいけないものでしょうか。


借金の返済を請求する権利には、時効が設定されています。ご質問の件が時効を迎えているか、確認してみましょう。

債権回収会社を名乗る会社から十数年前の借金の返済請求が届いた場合、消滅時効を迎えていることがポイントとなります。

消滅時効とは、権利が法律で決められた一定の期間使われなかったときに、権利を消滅させるという制度です。

今回のケースでは、借金の返済請求という権利が消滅時効を迎えているので、借金を返済する必要はありません。

ちなみに、消滅時効には一定の期間が決められていると述べましたが、5年の場合と10年の場合があります。

借金をしている人か、お金を貸している人が商法で定められている商人であれば、商法第522条が適用されて商事債権となり、5年が消滅時効です。
逆に、借金をしている人も、お金を貸している人も商人でなければ、民法第167条が適用されて一般債権となり、10年が消滅時効となります。

このように消滅時効が成立するまでの期間が異なる理由は、一般人よりも商人の方が法律に詳しく、消滅時効を意識してビジネスを行っていることが多いとされているからです。

今回ご相談されたケースでは、債権回収会社を名乗る会社から借金の返済請求が来たとのことなので、商事債権となり5年の消滅時効が考えられます。

ちなみに、お金を貸している側の貸金業者が個人のケースであれば、商人とは認められずに一般債権だと判断され、消滅時効は10年となる点には注意が必要です。

また、消滅時効については、2020年4月1日の民法改正で大きく変わるので、一度確認しておくことをおすすめします。

民法改正の大きな特徴としては、主観的起算点という考え方に基づき法律が変わったことが挙げられます。

現在の民法では客観的起算点(権利を使うことができるようになったとき)で消滅時効を計算する日は決められていました。
つまり、一般債権の場合は客観的起算点から10年が経過することで消滅時効が成立していたのです。

しかし、民法改正が行われてからは、主観的起算点(権利を使えると知ったとき)から5年が経過するか、客観的起算点から10年が経過することによって消滅時効が成立するようになります。

消滅時効については起算点がいつになるかで権利が消滅するかどうかが変わってくるので、気をつけておいたほうが良いでしょう。

ただし、いずれの場合でも今回の十数年前の借金の返済請求については、消滅時効が成立しています。
したがって、借金を返す必要はありません。

もちろん、相談者様の詳しい状況はわかりかねますので、より正確な答えが知りたいのであれば適切な機関にご相談ください。


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