相手の子は17歳ですがかなりしっかりしており、当人同士でも問題なく話し合いができそうな感じでした。向こうもなるべく親を入れたくないような感じなのですが、このまま私とその子だけで示談を進めるのは問題ありでしょうか?
トラブルの相手と示談交渉中、相手が未成年だったことがわかったとき、注意するべきことがいくつかあります。
まず、未成年者との示談には、その未成年者の親権者の同意が必要となります。
なぜなら、未成年者の法律行為は無効として取り消される可能性があるためです。
示談というのは、民法第695条の和解のことを指します。
民法第695条は、「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる」ということが書かれている条文です。
一方で、民法第5条では未成年者の法律行為について定められています。民法第5条1項は、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」という旨の条文です。そして、民法第5条2項は、「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる
という条文となっています。
また、未成年者の両親が婚姻関係にある場合は、両親双方の同意が必要です。
このとき、婚姻関係にある場合というのは、離婚していない状況を意味します。
民法第818条3項には、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う」旨が定められているためです。
共同して行うというのは両親が一致する意思決定を行って、それをもとにするか、他方の同意を得た上で親権を行使することを指します。
したがって、未成年者との示談交渉の際には、本人との示談書に加えて両親の同意書を作成するか、両親に未成年者の法定代理人になってもらい、両親と示談書を交わすようにしましょう。
また、示談書や同意書への署名はなるべく両親の共同名義でしてもらうのが良いです。
もしも片親だけの単独名義だと、署名していない方の親から「同意していないから示談は無効だ」と主張される可能性があります。
ですので、あとあとのトラブルを避けるためにも、未成年者相手の示談を行うときには両親に同意してもらうことを考えてください。
ちなみに、民法第818条2項には、「子が養子であるときは、養親の親権に服する」ことも定められています。
ですので、もしも示談相手の未成年者が養子である場合だとしても、未成年者本人と示談をせずに養親と示談書を交わすなどするのが良いでしょう。
以上、示談交渉中の相手が未成年者だった場合の対応について解説しました。
未成年者がトラブルの相手方となったときは、注意点を押さえながら手続きを進めてください。
もしもまだ何かわからないことや不安なことがありましたら、専門機関に相談することをおすすめします。