夫のスマートフォンに、監視アプリをインストールすることは違法でしょうか?

友人から聞いて、スマートフォンにインストールするとGPSでどこに行ったか監視できるアプリがあると知りました。
興味深く聞いたのですが、これはなにかの法律にひっかからないのか疑問に思っています。夫の行動を見張るために、インストールしても大丈夫でしょうか?


本人の合意があれば違法にはなりませんが、知らないところでインストールをすると違法になる可能性があります。

ご質問の「監視アプリ」は、GPSでの位置確認、遠隔でのスマートフォン操作などを行うアプリであるとして回答させていただきます。
これらのアプリについて、夫の合意がある状態でインストールする分には、何の問題もありません。
カップルがお互いにインストールし、GPSで位置を知らせあうようなアプリも存在します。

問題となるのは、夫に許可を取らずにインストールした場合です。

夫の許可を取らずにアプリをインストールしたときの法的リスク

スマートフォンの暗証番号を盗み見てロックを外し、画面を見ることまでについては、実は刑事罰を問われるような犯罪にはなりません。
しかし、アプリをインストールする際には、それとは別にスマートフォンで使用しているアカウントのパスワードを求められることがほとんどです。
このパスワードを入力し、アプリをダウンロードすると、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、いわゆる「不正アクセス禁止法」に抵触する可能性があります。

不正アクセス禁止法では、パスワードなどの認証情報で守られた情報やサービスに、電気通信回線を経由して、他者の認証情報を使ってアクセスすることを禁じています。

今回のご質問のケースだと、インターネットを経由した上で、夫のID・パスワードという認証情報を使用し、提供されているアプリのデータにアクセスすることになりますから、不正アクセス禁止法で禁じられている内容へ触れてしまうことになります。
これは、夫のスマホにパスワードが保存されており、入力する必要がない場合でも変わりません。
ネットワークを通じて、他者(夫)の認証情報を送信していることには違いないためです。

不正アクセスを禁じた項目は「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」第3条で、罰則は同11条に「3年以上の懲役または100万円以下の罰金」と定められています。

犯罪とは言えない場合でも、不法行為となる場合はある

不正アクセス禁止法に触れてしまう可能性をご説明しましたが、それ以外にもリスクはあります。
スマートフォンに監視アプリをインストールし、夫の知られたくない情報を質問者が知ることで、プライバシーを侵害したとされるかもしれません。
こちらは刑事上の犯罪にはあたりませんが、他人の利益、権利を侵害する民事上の不法行為として、損害賠償を求められる可能性があります。

正直なところ、プライバシーの侵害で損害賠償を求め、それが認められても、賠償額そのものは低額となりがちです。
しかし、そのようのな手段を相手から取られる可能性があることは、念頭に置いておくべきでしょう。

監視アプリの無断インストールは、基本的にリスクが高い

以上を総括すると、夫に無断で監視アプリをインストールすることは、刑事、民事どちらの面からもリスクを負うことになります。
繰り返しになりますが、夫の許可がある場合には、その限りではありません。
これらのアプリをインストールする前に、よくよく話し合われるべきかと考えます。


犯罪・刑事カテゴリーの質問