未婚と嘘をつかれて付き合っていた場合、貞操権の侵害で相手を訴えることができます。
貞操権とは、民法第710条で財産以外の損害の賠償として定められている権利です。
民法第710条には、他人の身体や名誉などを侵害した場合には賠償しなければならない旨が規定されています。
したがって、貞操権とは、肉体関係を持つ相手は自由に自分で選ぶことができ、自分の名誉を傷つけられたときには賠償請求ができる権利です。
貞操権が侵害されたときの慰謝料の相場は、おおよそ100万円~300万円だと考えられています。
詳しいケースによって異なりますが、相談者様の場合も相場程度の賠償を受けられる可能性は高いでしょう。
ただし、貞操権が侵害されたときに慰謝料が認められるケースと認められないケースがあることには注意が必要です。
貞操権の侵害によって慰謝料が認められるのは、以下のような場合が挙げられます。
- 既婚であることを隠されて肉体関係を持っていた
- 結婚するつもりがないのに結婚をほのめかしていた
- だまされた側の判断能力が不十分(若年者である)だった
- 半ば無理やり関係を持つなど、既婚と知っていても騙した側の違法性が高い
このように、貞操権を侵害した側の言動や、侵害された側の判断能力が問題となります。
もしも相談者様の状況が以上のようなものなのであれば、貞操権の侵害を受けたとして慰謝料を請求できるはずです。
一方で、貞操権の侵害にあたらないのは、以下のような場合が挙げられます。
- 騙した相手との肉体関係がない
- 騙された側の判断能力が十分であるとみなされた
- 既婚であることに気がつくであろう状況と判断された
このように、貞操権の侵害によって慰謝料を請求するのであれば、肉体関係や判断能力の有無がポイントとなります。
ちなみに、相手が既婚者であることを知りながら関係を持っていた場合、相談者様が損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。
なぜなら、夫婦間には貞操義務があり、配偶者がいる人は他人と不倫をしてはならないとされているためです。
不倫をしてしまった場合、夫婦間の貞操義務を破った共同不法行為として、慰謝料を請求される可能性も出てきます。
これは、民法第770条第1項の離婚事由である「配偶者に不貞な行為があったとき」だと考えられます。
したがって、未婚と嘘をつかれて付き合っていた場合も、相手が既婚者だと気がつくような状況だった場合には、相談者様にも責任が問われることがあるので気をつけなければなりません。
詳細な状況は今回のご質問だけではわかりかねますので、ご心配であれば適切な機関までご相談ください。