処方された薬の副作用が酷く、別途治療が必要になっています。治療費を医師や薬局に求めることは出来ませんか?

現在とある病気の治療で薬を処方され服用していますが、副作用が酷く生活に支障が出ています。結局その症状を治めるために別の治療が必要になっており、治療費もばかになりません。
このような処方をした医師や、薬局に治療費を求めることは出来ないのでしょうか。


医師や薬局に治療費を求めるには、非常に手間と時間がかかります。まず、医薬品副作用被害救済制度の利用をご検討ください。

使用したお薬の副作用により治療が必要となっているとのこと、まずはお見舞い申し上げます。
治療費について、副作用の原因となった薬を処方した医師、薬局に求められないか、ということですが、それに先立ち、利用をご検討頂きたい制度があります。
医薬品副作用被害救済制度というものです。ここでは、それについて解説します。

医薬品副作用被害救済制度とは

副作用がまったくない薬は存在しません。しかし、副作用が出てくる程度には個人差があり、その結果重篤な健康被害、障害をもたらす場合があります。
医薬品副作用被害救済制度は、そのような被害の補償をするための制度です。

医薬品を適正に使用したにも関わらず、その副作用で以下のような状況に陥った場合、患者、あるいはその家族が請求を行うことで、給付が行われます。
①入院が通常必要な程度の症状がある
…医療費、医療手当が給付される
②日常生活が著しく制限される程度の障害が残存した
…障害年金、障害児養育年金が給付される
③死亡した
…遺族年金、遺族一時金、葬祭料が給付される
いずれの給付が行われるかにより給付額が異なります。また、それぞれ請求期間の定めがありますので、詳しくはPMDA(医薬品医療機器総合機構)の解説ページをご確認ください。

PMDA 各給付の種類と給付額
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0007.html
PMDA 各給付の請求期限
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0021.html

給付の対象となるには

医薬品副作用被害救済制度を利用するには、その対象となる条件に当てはまらなければなりません。

上でも少し触れましたが、
  • 医薬品を適正に使用したにも関わらず発生した副作用であること
  • 入院が必要になるほどの症状、もしくは日常生活が著しく制限される程度の障害がある、あるいは死亡していること
の2点が前提条件となります。

また、この制度には対象外となる医薬品があります。
  • がんその他特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって厚生労働大臣の指定する医薬品等
  • 人体に直接使用されない医薬品、薬理作用のない医薬品等
の2点です。

また、健康被害などの不利益を被る可能性がある、と説明された上で、救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品等を使用した場合も、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
ご自身の使用された医薬品や、医薬品を使用した状況が対象外にあたるものではないかも、併せてご確認ください。
対象外の医薬品は、以下に一覧表が掲示されています。

PMDA 対象除外医薬品等
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0044.html

訴訟に至るのはどんな場合?

医薬品副作用被害救済制度は、訴訟を行わずとも医薬品による副作用被害に補償を行ってくれる制度です。
もし訴訟に至れば、患者さんご自身、ご家族、医療関係者など、すべての関係者が疲弊することになりますから、先立ってこちらの制度の使用をおすすめしています。
ただしこの制度の使用を申請しても、すべての場合で給付が行われているわけではなく、審査の結果不支給となる場合もあります。
申請後不支給となった場合の理由は、「医薬品により発現したとは認められない」「使用目的または使用方法が適正とは認められない」が6割を占めています。

これらに該当し、特に「使用目的または使用方法が適正とは認められない」とされた場合、医師、あるいは薬剤師から指示された通り使用していたのであれば、医療関係者の責任を問うことになるでしょう。


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