SNSで、卑猥なメッセージを送ってくる人がいます。匿名のアカウントですが、訴えることはできますか?
今はとりあえず無視しているのですが、毎日不快なので何とかしたいです。
SNSで卑猥なメッセージを送ってくる人がいるとのことですが、卑猥なメッセージが公然に晒されているような状態の場合には、公然わいせつ罪にあたる可能性があります。
公然わいせつ罪とは、刑法174条に定められている犯罪です。
刑法174条は、「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」というものとなります。
公然わいせつ罪と似ている犯罪に、強制わいせつ罪がありますが、それら2つは法的性格が違うものです。
強制わいせつ罪は刑法176条に定められていて、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」という内容となっています。
刑法174条に定められている公然わいせつ罪は、性的感情に対する罪ですが、刑法176条に定められている強制わいせつ罪は法的自由に対する罪です。
つまり、社会的法益に対する罪と性的自由に対する罪とで異なっています。
SNSのメッセージが個人間のもの(ダイレクトメッセージなど)である場合、公開されているわけではないので、公然わいせつと言うには難しいでしょう。
もしも公然わいせつ罪とは言えない場合、相手の行為に対する受忍限度がポイントです。
一般的な受忍限度を超えている、と判断するためには、さまざまな要素を考えなければなりません。総合的に判断されるものなので、実際に起訴するのは難しいです。
また、メッセージを送るのをやめるように相手に忠告してもやめてもらえない場合には、ストーカー規制法の対象となる可能性も出てくるでしょう。
ストーカー規制法とは、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」という正式名称の法律です。
ストーカー規制法第1条に法律の目的が定められており、「この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする」と明示されています。
また、ストーカー規制法第2条において罰則となる事柄が定められており、その中に「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。」というものがあります。
しつこく卑猥なメッセージを送ってくるようであれば、これに該当しますので、メッセージを持って警察に相談に行くことをおすすめします。
いずれにせよどの場合でも、相手を訴えるためには、相手を特定することも必要になります。
相手を特定することができれば、訴えるだけではなく、警察がストーカー行為をやめさせるように動くことも可能です。
しかし、SNSで卑猥なメッセージを送られているというケースでは、自分で相手を特定するのは難しいと言えます。
ですので、専門機関に依頼して調査を行ってもらう流れが主流です。
以上、SNSで卑猥なメッセージを送ってくる人がいる際の法律問題について解説しました。
もしもまだ疑問や不安が残るようでしたら、できるだけ早く適切な専門機関にご相談ください。