夫の浪費がひどく、話し合ってもやめてくれません。離婚の理由になりますか?

将来のために家計から貯金をしようと考え、すこしずつ貯めていたのですが、夫がよく大きな買い物をしてしまい、その貯金を勝手に持ち出してしまいます。我慢の限界なのですが、これを理由に離婚できるのでしょうか。


浪費の程度や状況によりますが、難しいかもしれません。しかし、その浪費で家計が破綻してしまうレベルだと、離婚できる可能性が高まります。

急な怪我や病気への備え、目標のためなどに、ほとんどのご夫婦が貯金をしているはずです。

身の丈に合わないものを購入して無駄遣いを重ね、散財するような配偶者が居れば、夫婦で注意と話し合いをするでしょう。
本来ならそこで反省し、繰り返しません。

しかし夫婦間での話し合いを経ても反省せずに浪費を繰り返す夫に対して、浪費を理由に離婚を迫ることができるのでしょうか?

夫の浪費が原因で離婚をしたいときは、協議離婚が成立すれば問題なく離婚可能です。協議離婚とは、夫婦の話し合いによる離婚です。
協議離婚は夫婦が納得して離婚届を提出すれば成立ですので、離婚理由は問われません。

浪費が原因でも、仕事が原因でも、夫婦の間で協議が成立していればいいのです。 夫婦の協議で離婚できなかった場合は、浪費を理由にした離婚が難しくなると考えられます。

協議離婚で離婚問題を解決できなかった場合、裁判所での離婚調停や離婚裁判を活用することになるからです。離婚調停で話がまとまらない場合は、離婚裁判で離婚の判断を仰ぐことになります。

離婚裁判では法定離婚事由に「浪費」が該当するかが問題になる


協議離婚や離婚調停で離婚できなかった場合、離婚裁判によって離婚することになります。

離婚裁判をしたからといって、必ず離婚が成立するわけではありません。
個別事情や夫婦双方の言い分などを確認し、離婚を認めないという判断が下ることもあります。

離婚裁判で出る結論に大きな影響を与える存在が法定離婚事由です。
法定離婚事由とは、民法770条に定められる「離婚できるケースの列挙」のこと。

  • 配偶者に不貞行為があった
  • 配偶者による悪意の遺棄があった
  • 配偶者が3年以上生死不明である
  • 配偶者が強度の精神病を患っており回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある

離婚裁判で離婚が認められるかどうかは、この法定離婚事由に該当するか否かが重要なポイントになります。

列挙された法定離婚事由の中に「配偶者の浪費癖」はありません。
そのため、離婚裁判において、浪費癖のみを理由に離婚することは難しいという結論です。

ただし、全てのケースにおいて離婚が認められないわけではありません。

状況によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することも


浪費の程度によっては、法定離婚事由に該当する可能性があります。

たとえば、夫個人だけの趣味に家計を破綻させるような莫大な金銭を費やしたり、ギャンブルで浪費して家庭にお金を入れてくれなかったりする場合は、この法定離婚事由に該当する可能性が考えられるのです。

浪費癖により夫婦関係が悪化したことで、結婚生活が破綻したと認められるケースもあります。
浪費の程度や事情によっては認められるケースがあるということです。

夫婦として共同生活する以上、金銭感覚は夫婦関係に亀裂を生じさせる重要事になる可能性を秘めています。

配偶者の浪費や金銭問題で悩んでいる場合は、夫婦問題や金銭問題を得意としている弁護士に相談してはいかがでしょう。
離婚も含めて、解決策が見えてくるかもしれません。


離婚・男女問題カテゴリーの質問