住んでいる賃貸物件の大家から、立ち退きを要求されています。拒否することはできますか?

現在賃貸物件に住んでいます。このあいだ、物件の大家さんから、立ち退きを求める手紙が届いていました。
今の部屋をとても気に入っているのですが、どうしても立ち退かないといけないのでしょうか?

立ち退きを求められている理由や、大家から提示された条件によります。
どのような場合に立ち退きが必要なのか、確認してみましょう。

住んでいる途中で物件の持ち主である大家に突然の立ち退きを要求されたらどうすればいいのでしょう。

賃貸物件はそこで暮らす店子にとって、生活の基盤になる場所であり、場合によっては仕事のベースでもあります。
急に立ち退き要求されても、すぐに立ち退きすることは難しいはずです。

しかし、大家は物件の持ち主。

持ち主に言われたら、やはりどれだけ急な要求でも立ち退きしなければならないのでしょうか。

答は、借地借家法にあります。
借地借家法には、立ち退きのルールが定められているのです。

正当な事由と認められる場合でなければ、大家の立ち退き請求は拒否することが可能になっています。
如何なる場合でも大家の立ち退き要求が許されてしまうと、世の中には急に家や仕事場を奪われる人がたくさん出てしまうことでしょう。
物件を借りる側を借地借家法によって保護しているのです。

立ち退き要求の正当な事由とは?

正当な事由か否かは、貸す側と借りている側の事情を考慮して判断します。
正当な事由の例は、以下の4つのようなケースです。

1.賃貸人本人(またはその子供)の経済や生活の事情により、居住や店舗として利用する
2.賃貸人に事情があり、物件を売却することになった
3.建物の老朽化により立て替えやメンテナンスの必要が生じた
4.賃料の未払いがある(6カ月程度)

以上のようなケースが正当な事由になります。

ですが、1~4の事情に該当した場合でも、即座に立ち退き要求の正当な事由が認められるというわけではありません。

あくまで「認められる可能性がある」に留まります。

正当な事由か否かは、それまでの事情や貸す側と借りる側それぞれの事情を確認して総合的に判断するのです。

建物の老朽化を主張したケースでも、それまで大家が建物のメンテナンスを怠っていたと判断され、正当な事由だと認められなかった事例があります。

賃料滞納があっても、1カ月分の支払いを1日遅れただけでは、正当な事由だと認められることは難しいかもしれません。

立ち退き料の支払いによる正当事由の補完

大家側に事情があっても、借りる側にも事情があれば、正当事由は認められにくくなります。

そのようなときは、立ち退き料を支払うことにより正当事由が補完され、正当事由が認められやすくなるのです。
立ち退き要求に正当事由が必要だとされているのは、借りる側を保護するため。
立ち退き料を支払うことで、「借りる側の保護に務めました」というアピールにもなるのです。

大家の立ち退き要求は正当な事由がなければ拒否できますが、裁判では、賃貸人が立ち退き料を払えば正当事由を補完したと判断される可能性があります。

物件は仕事や生活のベース。

トラブルになると仕事にも生活にも影響を与える可能性があります。
不安なことがあれば、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。


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